自力で改善可能?もう手遅れ?歯周病の段階別の症状について
2024/12/20
「歯周病は完治しない」
「日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病」
このような話を聞くと、「歯周病になってしまったら、もう抜歯は避けられないのではないか」と思う方もいらっしゃるかと思います。
実際に、歯周病は45歳以上の日本人の過半数が罹患している病気であり、抜歯の原因としては虫歯よりも多いことがわかっています。
また、歯周病になってしまったら、ケアや治療を行っても、完全に元の状態に戻すことはできません。
しかし、早期に対処することで、症状をコントロールしていくことは可能です。
手遅れになる前に適したケア・治療を行うために、歯周病の段階別症状について知っていきましょう。
歯周病とは
歯周病は、歯垢の中に含まれる歯周病菌の感染・増殖により、歯ぐきの炎症や歯槽骨の破壊が起こる病気です。
主な原因は、口内の食べかすや歯垢の磨き残しであり、それに加えて喫煙や糖尿病、歯ぎしりや食いしばりなども進行を早めるリスクになります。
45歳以上の日本人の過半数は歯周病に罹患しているというデータがあることからもわかるように、年齢を重ねることで罹患するリスクが高くなる病気ではありますが、10代でも歯周病になるリスクはあります。
歯周病の進行段階
歯肉炎
歯肉炎は、歯周病菌が歯と歯ぐきの間に入り込み、歯垢や歯石が蓄積され始めた状態です。
厳密にはまだ歯周病ではなく、歯周病の前段階といえます。
この段階では、わずかに歯ぐきのはれや出血がある場合もありますが、基本的に自覚症状はなく、自分で気づくことはほとんどありません。
歯肉炎の段階でセルフケアや歯科医院での治療を正しく行っていれば、歯周病に進行させることなく改善できる可能性があります。
軽度歯周病
軽度歯周病は、歯肉炎が進行し、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」と呼ばれる溝ができている状態です。
歯周ポケットの深さは2~5mmほどとなっており、そこにたまった歯垢や歯石の中で歯周病菌が増殖することで、歯ぐきの腫れや出血を引き起こします。
ピンク色だった歯ぐきは、赤く変化します。この段階での治療は、歯科医院での定期的な歯石取りと、自宅で行うセルフケアが基本です。
この二つをきちんと続けていれば、腫れや出血のない状態を保つことができる可能性があります。
中度歯周病
中度歯周病は、歯周ポケットが5~7mmの深さになった状態を指します。
歯ぐきの腫れや出血は軽度よりも悪化し、痛みや膿、歯のぐらつきが出る場合もあります。歯周病は初期段階では自覚症状が出にくい病気ではありますが、この状態まで進行していると、ほとんどの方に自覚症状があります。
中度歯周病の段階では、歯石取りやセルフケアに加えて、外科治療などが提案される場合もあります。
重度歯周病
歯周ポケットの深さが7mm以上になり、歯槽骨が溶け始めている状態は、重度歯周病と診断されます。
この状態になると歯は大きくぐらつくようになり、食事がままならない場合も少なくありません。
また、歯ぐきはぶよぶよと赤黒く腫れ、口臭もかなりきつくなります。治療法としては、外科的治療や歯周組織再生療法などがありますが、状態によっては抜歯が必要になります。
抜歯が必要になる症状
治療を受ける歯科医院の方針や対応している治療法、患者さんの細かい症状などによって違いはあるため一概にはいえませんが、下記のような症状がある場合は抜歯の可能性があります。
まずは、指や舌で歯を触ると動く、歯がぐらつくために物がかめないほどに、歯の動揺が進んでいる場合です。
この状態では歯槽骨はかなり溶けている可能性があります。
特に「歯が上下に動く」という場合には、歯の下の骨はすでに溶けている可能性が高く、抜歯を選択せざるを得なくなります。
また、歯並びが変わってきたという場合にも注意が必要です。
歯槽骨が溶け、歯を支えられなくなることで、歯並びが崩れている可能性があります。
そのほかに気を付けておきたいのは、口臭がかなりきつい場合や歯ぐきから膿が出る場合、歯ブラシをあてるなどちょっとした刺激だけで出血がある場合などです。
手遅れになる前に行う、抜歯を防ぐための対策
セルフケア
歯周病を発症させないため、また発症してしまっても初期段階で進行を食い止めるためには、セルフケアが重要です。
まずは、食後や就寝前には丁寧に歯磨きをする習慣をつけましょう。その際は、歯と歯ぐきの境目も意識してしっかりと磨くことが大切です。
また、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスも使うと、歯と歯の間などの歯ブラシでは取り切れない汚れも落としやすくなります。
歯周病菌から歯や歯ぐきを守るために、殺菌作用のあるマウスウォッシュを使ってみるのもいいでしょう。
ただし、マウスウォッシュは補助的な役割ですので、セルフケアの基本は歯磨きであることを忘れないようにしてください。また、炎症が起きている場合には低刺激性やノンアルコールのマウスウォッシュを使いましょう。
そして、たばこを吸っている方は禁煙することも歯周病予防につながります。
そのほか、バランスのいい食事や十分な睡眠時間の確保、ストレスをできるだけためない生活をすることで、免疫力を下げないよう気を付けることも大切です。
歯科医院でのケア・治療
歯科医院での歯周病治療は、歯肉炎や軽度歯周病の場合には定期的な検診とスケーリングが中心です。
症状が軽い場合には2、3カ月に一度の通院とセルフケアで症状をコントロールすることができます。
歯周ポケットが深くなってきた場合は、歯周ポケット内の歯石を取るために、SRP(スケーリングルートプレーニング)を行います。
これは、歯と歯ぐきの間についた歯石を専用の器具を使って除去するクリーニングです
歯周ポケットの深さや付着している歯石の量などによって時間や回数は異なりますが、保険診療では一回で行える本数に制限があるため、4~6回ほどの通院が必要になります。
歯周病が重度の場合には、歯周外科治療や歯周組織再生療法が行われます。
歯周外科治療とは、歯ぐきを切開して歯根を露出させ、付着している歯垢や歯石を除去する治療法です。歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯周組織を再生させるための治療法です。
歯周外科治療と歯周組織再生療法の二つの治療法を、同時に行う場合もあります。
まとめ
歯周病は歯を失う代表的な病気ではありますが、症状の進行は比較的ゆっくりです。
2、3カ月に一度歯科検診を受けていれば、早期に気付ける可能性や未然に防げる可能性が高い病気ですので、定期的な受診とセルフケアで一本でも多くの歯を守りましょう。
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