見えない裏側矯正のメリット・デメリットと適応条件を解説
2025/12/20
こんにちは、 西葛西駅徒歩5分の歯医者、木村歯科医院です。
裏側矯正は、矯正装置を歯の裏側に装着する矯正治療です。
人前に出る機会が多い職業の方や、見た目にも配慮した装置を選びたい方にとってメリットの大きい治療法ですが、口腔内の状態によっては裏側矯正が合わない場合もあります。
今回は、裏側矯正の特徴と適応条件について解説します。
裏側矯正とは
裏側矯正は、舌側矯正やリンガル矯正とも呼ばれる、矯正装置を歯の裏側に装着して歯並びを整える治療方法です。
表側矯正では歯の表面にブラケットとワイヤーを装着しますが、裏側矯正ではこれらをすべて歯の裏側に配置します。
治療の原理は表側矯正と同じですが、力の方向や作用点が異なるため、場合によってはより効率的に歯を動かせることもあります。
裏側矯正のメリット
装置が見えない
裏側矯正のメリットは、装置が外からほとんど見えないことです。
歯の裏側に装着されるため、話したり笑ったりして口を大きく開けた際にも目立ちません。
人前に出る機会が多い職業の方や、結婚式、成人式、就職活動などの大切なイベントを控えている方にとって、この審美性の高さは大きな利点となります。
細かい歯の移動が可能
裏側矯正では、表側矯正に比べてより細かい歯の移動が可能になることがあります。
歯の裏側から力を加えることで、歯根を中心とした回転や傾斜移動を効率的に行え、歯の挺出や圧下も精密にコントロールできるため、機能的で美しい噛み合わせを実現しやすいというメリットがあります。
また、奥歯の移動も効率的に行えることから、場合によっては治療期間の短縮も期待できます。
歯の表面が傷つきにくい
裏側矯正では、矯正装置を歯の裏側に装着するため、歯の表面を装置による損傷から守ることができます。
表側矯正では、ブラケットの接着や除去の際に歯の表面に微細な傷がつく可能性がありますが、裏側矯正ではこのリスクを大幅に軽減できます。また、治療中の外傷リスクも低くなります。
舌癖の改善につながる
裏側矯正では、装置が舌と接触する位置に配置されるため、舌突出癖や低位舌のある方も自然に舌の正しい位置を保ちやすくなります。
これにより嚥下動作が改善されれば、治療後の後戻りを防ぎながら、長期的に整った歯並びを維持できます。
また、舌の正しい位置を習慣化することで、口呼吸から鼻呼吸への改善につながる場合もあります。
裏側矯正のデメリット
しゃべりづらい
裏側矯正の代表的なデメリットの一つは、発音への影響です。
装置が舌と接触する位置にあるため、特に治療開始直後は「さ行」「た行」「ら行」などの発音が不明瞭になりやすいです。
職業上発音が重要な方には問題となる場合がありますが、多くの場合は2〜4週間ほどで装置に慣れ、発音も改善されます。
また、発音練習や舌の運動訓練により、慣れるまでの期間を短くすることも可能です。
歯磨きがしづらい
裏側矯正は、装置が歯の裏側にあるため、オーラルケアが難しくなります。
歯ブラシが届きにくいため、通常の歯磨きだけでは十分な清掃が難しく、清掃時間も通常の1.5〜2倍ほどかかることがあります。
そのため、より丁寧で時間をかけたオーラルケアと定期的な歯科医院でのクリーニングが必要になります。
料金が高い
裏側矯正は、表側矯正に比べて治療費が高い傾向があります。
装置自体のコストが高いことや、患者さんごとの歯型に合わせたカスタマイズが必要なこと、専門的な技術と経験が求められることなどがその理由であり、多くの場合は表側矯正の1.1〜1.5倍程度かかります。
ただし、近年は表側矯正と同等の費用で裏側矯正を提供している歯科医院も多くなっています。
対応できる歯科医院が限られる
裏側矯正は専門的な技術を要するため、対応できる歯科医院が限られています。
そのため、裏側矯正を希望する場合は、治療に必要な設備が整っているか、矯正装置は何を扱っているかなどを事前に確認しておくとよいでしょう。
また、裏側矯正に対応している歯科医院の場合も、具体的な治療の流れや期間、治療方針などを確認しておくと、治療を開始してから後悔するリスクを減らすことができます。
裏側矯正が適さない人
舌が大きい
舌が大きい患者さんの場合、裏側矯正での矯正治療が難しくなることがあります。
これは、舌と装置の接触面が多く、刺激や不快感を覚えやすくなるためです。
また、舌の動きが制限されることで、発音や嚥下に影響が出ることもあります。
このような場合には、マウスピース型矯正や表側矯正など、ほかの矯正方法が検討されます。
重度の歯列不正
裏側矯正は、重度の歯列不正には向かない場合があります。
歯並びが大きく乱れていると、歯のねじれや傾き、重なりが強く、裏側に装置を装着してもブラケットやワイヤーの調整が難しくなるためです。
また、治療期間が長くなりやすく、装置の破損や口腔内トラブルのリスクも高まります。
このため、裏側矯正は軽度から中等度の歯列不正に適しており、重度の場合は表側矯正やほかの矯正法との併用が検討されることがあります。
重度の過蓋咬合
裏側矯正は、重度の過蓋咬合には向きません。
過蓋咬合では上の前歯が下の前歯を大きく覆うため、歯の裏側に装置を装着すると噛み合わせの際に上の前歯と下の装置が接触しやすくなります。
この接触は装置の破損や脱落のリスクを高め、治療中の痛みや不快感の原因になります。
また、裏側矯正では力のかけ方や歯の移動方向のコントロールに制限があるため、過蓋咬合の改善に必要な歯の移動が十分に行えない場合があります。
このような症例の場合は、表側矯正が適しています。
装置が上の前歯に干渉しにくく、歯の移動方向や力の加え方を調整しやすいため、咬合の改善をよりスムーズに行えます。
必要に応じて、補助装置や外科的治療を併用することもあります。
まとめ
裏側矯正は、表から装置が見えないため審美性に優れ、歯の保護や細かい歯の移動、舌癖の改善などの利点があります。
一方で、発音への影響や歯磨きの難しさ、費用、対応できる歯科医院が限られる点など、注意すべき点もあります。
適応外となる場合もあるため、歯科医師による診査・診断を受け、利点と注意点を理解したうえで治療方針を決定することが大切です。
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