歯の神経を残す「歯髄温存療法」とは?治療法や適応条件を解説
2026/08/20
こんにちは、 西葛西駅徒歩5分の歯医者、木村歯科医院です。
神経を失った歯は脆く、変色しやすくなります。
歯髄温存療法は、そのようなリスクに対処するための方法です。
今回は、歯髄温存療法の仕組み、治療方法、適応条件、治療を受ける際の注意点について解説します。
歯髄とは
歯髄は、神経や血管、リンパ管などが含まれている、歯の中心部にある組織です。
歯に栄養を供給し、感覚を伝える役割を果たしています。
また、歯髄は虫歯に対する防御反応も担っています。
歯髄温存療法とは
歯髄温存療法は、虫歯が神経(歯髄)の近くまで達していたり、神経の一部が露出しかけていたりする場合でも、神経を取り除かずに残すための治療法です。
間接覆髄法、直接覆髄法、部分断髄法などの種類があり、虫歯の深さや歯髄の状態に応じて使い分けられます。
歯髄を残すメリット
歯髄を残すことには多くのメリットがあり、その代表が歯の寿命を延ばせる可能性があることです。
神経がある歯は栄養供給が続くため、歯質が維持され、割れにくくなります。
また、歯の感覚が保たれるため、噛む力の調整もしやすくなります。
歯髄温存療法の種類
間接覆髄法
歯髄に近い場所まで虫歯になっているものの、歯髄がまだ露出していない場合に行う治療法です。虫歯を除去すると歯髄が露出してしまう可能性がある場合、あえて少量の軟化象牙質を残し、その上に薬剤を置いて歯髄を保護します。
直接覆髄法
虫歯の除去中に歯髄が露出してしまった場合に行う治療法です。露出した部分に直接薬剤を置き、歯髄を保護します。歯髄の炎症が軽く、回復する可能性がある場合に行うことができます。炎症が進んで回復が見込めない状態では、抜髄が必要になります。
部分断髄法
歯髄が露出し、その部分に炎症がある場合でも、炎症部分だけを切除して残りの健康な歯髄を残す方法です。歯髄の表層部分のみを除去し、深部の健康な歯髄は保存します。
歯髄切断法
歯冠部の歯髄を除去し、歯根部の歯髄のみを残す方法です。主に乳歯や、根が未完成の若年永久歯に対して行われます。症状の原因となっている炎症部分を取り除きつつ、歯根部の歯髄を保存することで、根の成長を促進できます。
歯髄温存療法の適応条件
歯髄の状態
歯髄温存療法を行うには、神経の炎症が回復可能な状態(可逆性)である必要があります。
炎症が進みすぎて回復が望めない不可逆性の状態では、この治療を適応することはできません。
何もしなくてもズキズキと激しく痛む「自発痛」が長く続く場合は、回復が難しい段階まで進行している可能性が高いです。
年齢
若年者は歯髄の血流が多く、治癒能力が高いため、歯髄温存療法に適しています。
高齢者でも条件が整えば適応となりますが、加齢により歯髄腔が狭くなっていたり、血流が減少していたりするため、慎重な判断が必要です。
虫歯の深さと範囲
虫歯が深くても、歯髄への感染がなく、炎症が限局的であれば、歯髄温存療法の適応となります。
ただし、虫歯の範囲が広すぎる場合は、修復が困難になるため、適応外となることがあります。
患者さんの全身状態
糖尿病や免疫不全などの全身疾患がある場合は、免疫力が低下しているため、神経を残せる可能性が低くなります。
また、喫煙の習慣も組織の回復を妨げる大きな要因となります。
全身の状態が良好で、セルフケアもしっかりと行える方は、治療後の経過も良く、神経を長持ちさせやすくなります。
歯髄温存療法の治療の流れ
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- STEP 1初診と診断
- 初診では、問診、視診、触診、打診、レントゲン撮影などにより歯髄の状態を評価し、歯髄温存療法の適応かどうかを判断します。適応と判断された場合、治療の説明と同意を得ます。
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- STEP 2麻酔と虫歯の除去
- 治療は局所麻酔下で行います。間接覆髄法では、神経を保護するために、軟化象牙質をごく少量残すことがあります。一方で、直接覆髄法や部分断髄法では、虫歯を除去したうえで、露出した神経を清掃し、細菌感染の防止に努めます。
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- STEP 3覆髄材の填入と仮封
- 虫歯を除去した後、歯髄に近い部分または露出した歯髄の上に覆髄材を置き、仮封材で歯を封鎖します。その後、数日から1週間程度仮封のまま経過を観察します。この期間、痛みが出ないか、症状が悪化しないかを確認し、問題がなければ次の段階に進みます。
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- STEP 4最終修復
- 経過観察で問題がなければ、最終的な修復を行います。仮封材を除去し、覆髄材の硬化を確認します。その上にレジンやセラミックなどの修復材料で歯を修復します。
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- STEP 5定期的な経過観察
- 治療後は、定期的に歯科医院を受診し、経過を観察します。レントゲン検査により、歯髄の状態や根尖の変化を確認します。
歯髄温存療法後の注意点
口腔衛生の維持
修復した部分と歯の境目は、虫歯になりやすい部位であり、特に治療後は口腔内を清潔に保つことが重要です。丁寧な歯磨きとデンタルフロスの使用により、虫歯を予防しましょう。
定期検診の受診
歯髄温存療法後は、定期的な検診が欠かせません。
レントゲン検査により、歯髄の状態や根尖の変化を確認します。
症状がなくても、問題が起きている可能性があるため、定期検診を欠かさないようにしましょう。<
すべての症例に適応できるわけではない
歯髄温存療法は優れた治療法ですが、万能ではありません。歯髄の炎症が進行している場合、感染が広がっている場合などは、適応外となります。
無理に歯髄を残そうとすると、かえって症状が悪化し、最終的に抜歯が必要になることもあります。
再治療の可能性
歯髄温存療法がうまくいかず再治療が必要になった場合、多くの場合において抜髄を行うことになります。
また、数年後に問題が生じることもあり、長期的な観察が必要です。
まとめ
歯髄温存療法は、深い虫歯でも歯の神経を残すことができる治療法です。
間接覆髄法、直接覆髄法、部分断髄法などの種類があり、虫歯の深さや歯髄の状態に応じて使い分けられます。
歯髄を残すことには多くのメリットがあります。歯の寿命が延び、歯質が保たれ、変色も起こりにくくなります。
ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、診断の難しさや長期的な不確実性もあります。
歯髄温存療法を検討している方は、歯科医師と十分に相談をし、自分の症例が適応かどうかを判断してもらうことが重要です。
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